パンくず
慢性蕁⿇疹治療における効果不⼗分な患者の実態とは?
監修:藤⽥医科⼤学 ばんたね病院 総合アレルギー科 教授 ⽮上 晶⼦ 先⽣
慢性蕁⿇疹の薬物治療では、第⼀段階として抗ヒスタミン薬による症状の抑制を⽬指します。しかし、実際に薬物治療を受けている患者のなかには症状コントロールができていない⽅が多く存在します1)。今回はこのような治療が効果不⼗分な患者の実態についてご紹介いたします。
1)Itakura A, et al. J Dermatol. 2018;45(8):963-970.
本研究にノバルティスは資⾦提供を⾏いました。著者にノバルティスの社員が含まれます。著者にノバルティスより講演料/コンサルタント料を受領している者が含まれます。
目次
慢性蕁⿇疹患者を対象にしたインターネットによる「RELEASE調査」
対象・⽅法:2017年4〜5⽉に⽇本で実施した、Webによる横断的⾮介⼊観察研究。蕁⿇疹、乾癬、および/またはアトピー性⽪膚炎と診断されており、過去1年以内に医療機関への受診歴がある患者を対象に、アンケートによるオンライン調査を⾏った。調査項⽬には⼈⼝統計学的特性、受療状況、蕁⿇疹の疾患コントロール度などが含まれた。さらに、現在および過去12ヵ⽉間で最も症状が重かった4週間のDLQI、WPAI-GH、UCTについても回答を求めた。
調査の限界:医師による診断が各調査参加者による報告に依存していたこと、過去の最も症状が重かった状態について患者が思い出して回答している情報を含んでいること、軽度〜重度のさまざまな状態の患者を募集したことがあげられる。
Itakura A, et al. J Dermatol. 2018;45(8):963-970.
本研究にノバルティスは資⾦提供を⾏いました。著者にノバルティスの社員が含まれます。著者にノバルティスより講演料/コンサルタント料を受領している者が含まれます。
1.症状コントロール状況
慢性蕁⿇疹患者の63.9%が症状をコントロールできていませんでした※。また、慢性蕁⿇疹患者の72.8%が、「現在⽪膚科診療所を受診している」と回答しました。
※コントロール不⼗分または不良
UCT:Urticaria Control Test(蕁⿇疹コントロールテスト)。過去4週間の蕁⿇疹のコントロール状態について、患者⾃⾝が評価する指標。4つの質問を0〜4点、計16点満点で評価し、点数が低いほど状態が悪いことを表す。
治療状況:慢性蕁⿇疹患者の67%が抗ヒスタミン薬を処⽅され、43%が経⼝コルチコステロイド*を処⽅されていた。
*:経⼝コルチコステロイドの慢性蕁⿇疹に対する効能⼜は効果は承認外
2.睡眠に対する影響
慢性蕁⿇疹患者(552例)の57.1%が、夜間の痒みによって睡眠を障害されていました。
痒みがひどく夜眠れないことがよくある
(n=552)
注)「はい」以外の回答については論⽂および社内資料に記載なし
治療状況:慢性蕁⿇疹患者の67%が抗ヒスタミン薬を処⽅され、43%が経⼝コルチコステロイド*を処⽅されていた。
*:経⼝コルチコステロイドの慢性蕁⿇疹に対する効能⼜は効果は承認外
3.健康状態・治療満⾜度への影響
慢性蕁⿇疹のコントロール状況別に健康状態に対する患者の満⾜度をみたところ、「不満」と回答した割合はUCT≧12(コントロール良好)で18.6%なのに対し、UCT<8(コントロール不良)で53.3%でした。また、治療に対する満⾜度は、「不満」と回答した割合がUCT≧12(コントロール良好)で7.5%なのに対し、UCT<8(コントロール不良)で47.4%でした。慢性蕁⿇疹患者の健康状態や治療に対する満⾜度は、コントロール状況が悪化するほど低くなることが⽰唆されました。
4.慢性蕁⿇疹治療における症状コントロール
藤⽥医科⼤学 ばんたね病院 総合アレルギー科 教授 ⽮上 晶⼦ 先⽣
| 「蕁⿇疹診療ガイドライン2018」では、「慢性蕁⿇疹の治療における最初の⽬標は、抗ヒスタミン薬の内服を継続することにより⽪疹の出現を完全に抑制することである。」とされています1)。しかし、2018年に報告された慢性蕁⿇疹患者を対象にしたインターネットによる「RELEASE調査」2)では、約6割の慢性蕁⿇疹患者が「症状のコントロールができていない」(UCTスコア<12)ことがわかりました。なお、調査対象となった慢性蕁⿇疹患者の67%が抗ヒスタミン薬を、43%が経⼝コルチコステロイド注)を処⽅されていました。 今回お⽰ししたデータでは、慢性蕁⿇疹患者のなかには症状コントロールができていない患者が⼀定数存在し、睡眠や健康状態、治療満⾜度への影響を受けていることが⽰唆されました。加えて、患者⾃⾝も夜間の症状や睡眠の悩みについて⽇中の診察時には失念している場合があります。 そのため、患者が⼗分に症状を伝えきれていない可能性も考慮しながら、丁寧な聞き取りや問診をすることが⼤切です。そのうえで、抗ヒスタミン薬や補助的治療薬による治療を⾏ってもなお、患者の症状コントロール状況やQOLが悪化する場合は、ガイドラインに沿って治療のステップアップを検討することが重要であると私は考えます。 |
注)経⼝コルチコステロイドの慢性蕁⿇疹に対する効能⼜は効果は承認外
1)蕁⿇疹診療ガイドライン2018. ⽇⽪会誌. 2018;128(12):2503-2624. p.2513. Ⓒ⽇本⽪膚科学会 2018
2)Itakura A, et al. J Dermatol. 2018;45(8):963-970.
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