慢性蕁⿇疹の症状を正確に把握するには?

監修:医療法⼈社団 廣仁会 札幌⽪膚科クリニック 院⻑ 安部 正敏 先⽣

慢性蕁⿇疹患者の多くは、その症状によって⽇常⽣活に⽀障をきたしています。しかし、⽇々の限られた診療時間ではその症状を⾒極めることが難しい場合もあります。今回は、その実態と症状を把握するためのツールをご紹介します。

目次

Image
RELEASE調査概要

1.慢性蕁⿇疹患者の疾病負荷の変動

慢性蕁⿇疹患者を対象とした疾病負荷に関する報告において、調査時のDLQIスコアが4.8であるのに対し、過去1年間で最も深刻な状態にあった時点では8.4と、症状の程度が変動することが⽰唆されました。また、特発性の蕁⿇疹は⼣⽅〜夜間、明け⽅にかけて悪化しやすいとされており1)、⽇中の診療では患者の症状を把握することが難しい場合があります2)

疾患別DLQI

Image
疾患別DLQI 調査時 棒グラフ 慢性蕁麻疹:DLQIスコア4.8、アトピー性皮膚炎:DLQIスコア6.1、乾癬:DLQIスコア4.8
Image
過去1年間で最も深刻な状態にあったとき 棒グラフ 慢性蕁麻疹:DLQIスコア8.4、アトピー性皮膚炎:DLQIスコア9.0、乾癬:DLQIスコア6.5

DLQIスコア:⽪膚疾患に特異的なQOL評価指標で、最近1週間の⽪膚症状がQOLに及ぼす影響を点数化する。スコアが⾼いほどQOLが低いことを⽰す。

治療状況:慢性蕁⿇疹患者の67%が抗ヒスタミン薬を処⽅され、43%が経⼝コルチコステロイドを処⽅されていた。

*:経⼝コルチコステロイドの慢性蕁⿇疹に対する効能⼜は効果は承認外

1)蕁⿇疹診療ガイドライン2018. ⽇⽪会誌. 2018;128(12):2503-2624. p.2523. ⓒ⽇本⽪膚科学会 2018
2)葉⼭惟⼤. ⽇⼤医誌. 2020;79(2):93-97. 著者はノバルティスより講演料を受領しています。

Image
RELEASE調査概要

慢性蕁⿇疹患者を対象にしたインターネットによる「RELEASE調査」

対象・⽅法:2017年4〜5⽉に⽇本で実施した、Webによる横断的⾮介⼊観察研究。蕁⿇疹、乾癬、および/またはアトピー性⽪膚炎と診断されており、過去1年以内に医療機関への受診歴がある患者を対象に、アンケートによるオンライン調査を⾏った。調査項⽬には⼈⼝統計学的特性、受療状況、蕁⿇疹の疾患コントロール度などが含まれた。さらに、現在および過去12ヵ⽉間で最も症状が重かった4週間のDLQI、WPAI-GH、UCTについても回答を求めた。
調査の限界:医師による診断が各調査参加者による報告に依存していたこと、過去の最も症状が重かった状態について患者が思い出して回答している情報を含んでいること、軽度〜重度のさまざまな状態の患者を募集したことがあげられる。

Itakura A, et al. J Dermatol. 2018;45(8):963-970.
本研究にノバルティスは資⾦提供を⾏いました。著者にノバルティスの社員が含まれます。著者にノバルティスより講演料/コンサルタント料を受領している者が含まれます。

2.⾃覚症状に対する医師と患者のギャップ

⽇中の痒みについて、開業⽪膚科受診患者のうち70%が⾃⾝の症状を重症の痒みであると評価しました。⼀⽅で患者の症状を重症と評価した医師は35%であり、⾃覚症状の評価において、医師と患者でギャップがあることが⽰唆されました。

※重症の痒み:⽇中「かなり痒く、⼈前でも掻く痒み」と「いてもたってもいられない痒み」の合計、夜間「痒くて⽬がさめる」と「痒くてほとんど眠れない」の合計

⽇中の痒みの評価に対する医師と患者のギャップ

Image
自覚症状に対する医師と患者のギャップ 日中の痒みの評価に対する医師と患者のギャップ 開業皮膚科医の棒グラフ
Image
自覚症状に対する医師と患者のギャップ 日中の痒みの評価に対する医師と患者のギャップ 病院皮膚科の棒グラフ
Image
自覚症状に対する医師と患者のギャップ 日中の痒みの評価に対する医師と患者のギャップ 開業内科の棒グラフ
Image
自覚症状に対する医師と患者のギャップ 日中の痒みの評価に対する医師と患者のギャップ 凡例

対象・⽅法:ヤフーバリューインサイト(株)[現・(株)マクロミル]が、1,736,481名の登録パネルを⽤いて、2009年10〜11⽉に蕁⿇疹治療のために医療機関を受診(受診前1週間は処⽅薬を内服せず)した16歳以上の患者560,027例を対象にアンケート調査を実施した。初回受診時に慢性特発性蕁⿇疹で内服薬を処⽅された594例に対し、「症状に対するつらさ」や、「薬物治療の満⾜度」および「医療機関への受療意識」などの調査を⾏った。

古川福実. 新薬と臨牀. 2011;60(7):1402-1410.

3.Urticaria Control Test(UCT)

UCTは蕁⿇疹患者の症状の程度や治療効果を客観的に把握するための評価ツールであり、「蕁⿇疹診療ガイドライン2018」においても、臨床試験における評価や⽇々の治療内容を⽴案、決定するための⼿段として使⽤することが推奨されています1)

Image
Urticaria Control Test(UCT) 質問と点数の表、コントロール指数と採点表の図

過去4週間の蕁⿇疹の状態について、患者⾃⾝が評価する。最⾼点は16点で、点数が低いほど状態が悪いことを表す。

Zuberbier T, et al. Allergy. 2018;73(7):1393-1414.
Itakura A, et al. J Dermatol. 2018;45(8):963-970.
本研究にノバルティスは資⾦提供を⾏いました。著者にノバルティスの社員が含まれます。
著者にノバルティスより講演料/コンサルタント料を受領している者が含まれます。
1)蕁⿇疹診療ガイドライン2018. ⽇⽪会誌. 2018;128(12):2503-2624. p.2510. Ⓒ⽇本⽪膚科学会 2018

4.慢性蕁⿇疹の疾患特性と症状把握

医療法⼈社団 廣仁会 札幌⽪膚科クリニック 院⻑ 安部 正敏 先⽣

慢性蕁⿇疹の症状は患者のQOLに影響を与え、多くの患者が⽇常⽣活や仕事、学校⽣活などに困難を抱えています。「蕁⿇疹診療ガイドライン2018」における治療の第⼀⽬標は「治療により症状が現れない状態1)」ですが、蕁⿇疹はその症状を正確に把握することが難しい疾患でもあります。今回お⽰しした通り、蕁⿇疹の症状は断続的に現れ、痒みの程度も⼀⽇のなかで変動があります。そのため、診察時の状態だけでは患者の困りごとをすべて理解することができず、患者と医師の間でも評価にギャップが⽣じてしまうことがあります。
ご紹介したUCTはそのような蕁⿇疹の症状や治療満⾜度を客観的かつ簡便に患者⾃⾝に評価していただくツールです。「蕁⿇疹診療ガイドライン2018」では、16点満点中12点以上を良好な制御の⽬安とすることが推奨されています2)
蕁⿇疹の症状や治療効果の評価においては、診察時の症状だけで判断するのではなく、丁寧な問診やUCTなどのツールの使⽤を検討することで、患者の状況をより正確に把握することが⼤切です。そのうえで、患者それぞれに応じた治療⽅針を考慮することが重要であると私は考えます。

1)蕁⿇疹診療ガイドライン2018. ⽇⽪会誌. 2018;128(12):2503-2624. p.2510. Ⓒ⽇本⽪膚科学会 2018
2)蕁麻疹診療ガイドライン2018. 日皮会誌. 2018;128(12):2503-2624. p.2511. ⓒ日本皮膚科学会 2018

5.じんましん症状チェックシートのご紹介

じんましん症状チェックシート

じんましんと診断された患者向けのUCTチェックシートです。ぜひ⽇々の診療にご活⽤ください。

Image
じんましん症状チェックシート 表裏のイメージ図

次の記事を読む

蕁⿇疹の他の話題を知る

ゾレア製品について

Web講演会のご案内

Web講演会⼀覧をご案内します。

Web面談予約

デジタルコミュニケーターとの⾯談予約はこちらから