パンくず
ファビハルタ FAQ(2026年7月作成)
製品FAQは医療に従事する先生方からよくご質問いただく内容をまとめたものです。記載している情報はあくまで参考情報としてお取り扱いいただき、医療上のご判断は医療従事者の裁量と責任のもとに行っていただきますようお願い致します。
製品のご使用にあたっては、最新の電子化された添付文書(電子添文)をご確認ください。製品に関してご不明な点がございましたら、弊社お問い合わせ窓口にお問い合わせください。
1.用法及び用量
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の治療において、補体(C5)阻害剤(エクリズマブ、ラブリズマブ、クロバリマブ)以外のPNH治療薬から変更する場合に注意することはありますか?
補体(C5)阻害剤(エクリズマブ、ラブリズマブ、クロバリマブ)以外のPNH治療薬からファビハルタに切り替える際は、投与の中止に伴う溶血のリスクを低減するため、エクリズマブ、ラブリズマブ、クロバリマブから切り替える時と同様に前治療薬の投与間隔を考慮してください1)。
(参考)
1) ファビハルタ適正使用ガイド(発作性夜間ヘモグロビン尿症)1.3.2
https://www.pro.novartis.com/jp-ja/products/fabhalta/document
ファビハルタを1日1回400mg又は200mgで投与してもいいですか?
ファビハルタの承認された用法及び用量は、「通常、成人にはイプタコパンとして1回200mgを1日2回経口投与する。」であり1)、1日1回投与や用量の増減した場合の有効性、安全性は確立していませんので、弊社からは推奨していません。
(参考)
1) ファビハルタ電子添文6
https://www.pro.novartis.com/jp-ja/products/fabhalta/document
2.特定の背景を有する患者
妊婦へ投与してもいいですか?
電子添文では、妊婦又は妊娠している可能性のある女性への投与に関して禁忌の規定はございません。
ただし、ファビハルタ投与の妊婦への影響を適切に評価できる臨床試験はないことから、妊婦又は妊娠している可能性のある女性へ投与する場合は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与してください。雌ラットを用いた受胎能及び着床までの初期胚発生試験において、臨床用量の5.4倍の曝露(AUC)で、着床前及び着床後胚死亡率の高値、並びに生存胎児数の低値が認められています1)。
ファビハルタの投与経験はわずかであり、重大な先天異常、流産、母体又は胎児の有害な転帰の薬剤関連リスクについての情報は得られていません。
発作性夜間ヘモグロビン尿症に対する国際共同第Ⅲ相臨床試験C12302/APPLY-PNH試験で妊娠が2例報告されています。
1例はファビハルタを約4ヵ月間服用した後、妊娠が判明し,ファビハルタを漸減投与後に中止しました(最終投与日:Day 141)。患者は正常児を満期出産しました。
1例はファビハルタの投与開始約6ヵ月後以降に2回妊娠し、いずれも人工妊娠中絶を受けました2)。
(参考)
1) ファビハルタ電子添文 9.5
https://www.pro.novartis.com/jp-ja/products/fabhalta/document
2) ファビハルタ申請資料概要(2024年6月24日承認、2.7.4-2.1.5.2.1)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/3999064
授乳婦へ投与してもいいですか?
電子添文では、授乳婦への投与に関して禁忌の規定はございません。
ただし、ファビハルタのヒト乳汁中への移行は不明であり、哺乳中の児又は乳汁産生に対する影響に関するデータはないことから、授乳婦に投与する場合は、治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討してください1)。
(参考)
1)ファビハルタ電子添文 9.6
https://www.pro.novartis.com/jp-ja/products/fabhalta/document
肝機能障害患者に投与する場合に注意することはありますか?
肝機能障害患者への投与は、非結合型の血中イプタコパン濃度が上昇し、副作用が増強されるおそれがあるため患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意してください1)。
<肝機能障害患者を対象とした薬物動態試験(A2105試験)>
軽度(Child-Pugh分類A)、中等度(Child-Pugh分類B)又は重度(Child-Pugh分類C)の肝機能障害患者に本剤200mgを単回経口投与し、肝機能障害がイプタコパンの曝露量に及ぼす影響を評価しました。血漿中のイプタコパンについて、軽度の肝機能障害患者(8例)ではイプタコパンのCmaxが約1.04倍に増加しましたが、中等度(8例)又は重度(6例)の肝機能障害患者では変化は認められませんでした。軽度及び重度の肝機能障害患者ではいずれもAUCinfが1.03倍に増加しましたが、中等度の肝機能障害患者では変化は認められませんでした。その一方、血漿中の非結合型のイプタコパンについて、軽度、中等度及び重度の肝機能障害患者でCmaxはそれぞれ1.38倍、1.67倍及び2.11倍に増加しました。また、AUCinfはそれぞれ1.48倍、1.58倍及び3.71倍に増加しました(外国人データ)2,3)。
(参考)
1) ファビハルタ電子添文 9.3
https://www.pro.novartis.com/jp-ja/products/fabhalta/document
2) ファビハルタ適正使用ガイド(発作性夜間ヘモグロビン尿症) 3.Q&A Q1
https://www.pro.novartis.com/jp-ja/products/fabhalta/document
3) ファビハルタ適正使用ガイド(C3腎症) 3.Q&A Q1
https://www.pro.novartis.com/jp-ja/products/fabhalta/document
3.安全性(過量投与、相互作用、RMP対応等)
投与中に手術をする際、休薬は必要ですか?
ファビハルタを投与中に外科的手術等の治療を行う場合、手術に伴い補体が活性化するリスク1)があることから休薬の必要はないと考えられます。
発作性夜間ヘモグロビン尿症の治療中の患者では、手術の影響等によりブレイクスルー溶血が発現した際には、必要に応じてガイドライン等を参考にレスキュー治療を検討してください。また、ファビハルタの休薬および中止の必要があると判断した場合は、ファビハルタの投与中止後に溶血が起こる可能性を鑑みて、代替治療を検討してください2)。そのほか、専門家によるコンセンサス3)で、経口補体阻害薬服用中の患者は、24時間を超えて薬剤を消化管から吸収できない場合、経口投与できるまではC5阻害薬に切り替えるとあります。
(参考)
1) 発作性夜間ヘモグロビン尿症診療の参照ガイド 令和 4 年度改訂版
http://zoketsushogaihan.umin.jp/file/2022/Paroxysmal_nocturnal_hemoglobinuria2022.pdf
2) ファビハルタ適正使用ガイド(発作性夜間ヘモグロビン尿症) 1.3.3
https://www.pro.novartis.com/jp-ja/products/fabhalta/document
3) Dingli, D. et al.: Hematology. 2024; 29(1) :2329030.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39665683/
ファビハルタによる発作性夜間ヘモグロビン尿症の治療中の患者における、ファビハルタ投与中止後に生じる溶血の機序・対処法は?
ファビハルタによる発作性夜間ヘモグロビン尿症の治療中の患者では、ファビハルタの投与を中止すると、PNH型赤血球は補体介在性溶血から保護されなくなるため、溶血が起こると考えられます。
対処法として、ファビハルタを中止する場合は他の抗補体薬などへの切り替えを考慮し、投与中止後に溶血が発現した場合は、ファビハルタの投与再開を検討してください1)。
(参考)
1) ファビハルタ適正使用ガイド(発作性夜間ヘモグロビン尿症) 1.3.3
https://www.pro.novartis.com/jp-ja/products/fabhalta/document
重大な副作用である髄膜炎菌感染症/重篤な感染症の発現機序・対処法は?
ファビハルタは補体第二経路を阻害し、MAC形成及びC3を介したオプソニン化の両方を抑制するため、これらの感染防御プロセスを用いる莢膜形成細菌に対する感染リスクがあります1)。
対処法として髄膜炎菌等の重篤な感染症の初期徴候(発熱、頭痛、項部硬直等)に注意して観察を十分に行い、髄膜炎菌等の重篤な感染症が疑われた場合には、直ちに診察し、抗菌剤の投与※等の適切な処置を行ってください2,3)。
(参考)
1) Schubart A, et al.: PNAS. 2019;116(16):7926-7931
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30926668/
2) ファビハルタ適正使用ガイド(発作性夜間ヘモグロビン尿症)2.1
https://www.pro.novartis.com/jp-ja/products/fabhalta/document
3) ファビハルタ適正使用ガイド(C3腎症)1.3
https://www.pro.novartis.com/jp-ja/products/fabhalta/document
4.製剤(貯法、安定性、懸濁等調剤関連)
ファビハルタは脱カプセル、簡易懸濁法による投与、一包化してもいいですか?
ファビハルタを脱カプセルして投与すること、懸濁して投与することは、承認外の用法となります。脱カプセルして投与した際、懸濁して投与した際の有効性、安全性、薬物動態は確立していませんので、弊社からは推奨していません。
また、ファビハルタを一包化して安定性を検討したデータはありません。
参考までに、ファビハルタの無包装における安定性は、25℃/60%RHおよび30℃/75%RH、無包装条件下で3カ月間、含量などの試験の結果はすべて適合でした1)。
(参考)
1) ノバルティスファーマ社内資料 無包装における安定性
5.その他
ファビハルタ投与中にインフルエンザワクチンなどの既定3種以外のワクチン接種をしてもいいですか? 免疫獲得への影響はありますか?
接種歴の確認・接種が求められているワクチンは髄膜炎菌、肺炎球菌及びインフルエンザ菌b型(Hib)であり、既定3種以外のワクチンに関する個別の禁忌又は併用注意の記載はありません。このため、インフルエンザワクチンなど既定3種以外のワクチン接種は可能と考えられます1-4)。ファビハルタ投与中のワクチン接種については、各製品の電子添文や各ガイドライン等を参考に検討してください。
なお、ファビハルタの獲得免疫への影響については、非臨床試験において、DNP-KLH投与マウスモデル及びSRBC投与ラットモデルで、T細胞依存性B細胞応答は抑制されず、抗原特異的抗体価への影響は認められませんでした。また、イヌ39週間反復投与毒性試験でも、KLHで惹起した免疫応答(IgM及びIgG抗体価)への影響は軽微でした。これらの結果から、ファビハルタはT細胞依存性B細胞応答に影響を及ぼさず、獲得免疫に対して臨床的に意義のある作用を示さないと考えられています5)。
(参考)
1) ファビハルタ電子添文1.1.2
https://www.pro.novartis.com/jp-ja/products/fabhalta/document
2) ファビハルタ電子添文2.
https://www.pro.novartis.com/jp-ja/products/fabhalta/document
3) ファビハルタ電子添文5.1
https://www.pro.novartis.com/jp-ja/products/fabhalta/document
4) ファビハルタ電子添文10.2
https://www.pro.novartis.com/jp-ja/products/fabhalta/document
5) ファビハルタ申請資料概要(2024年6月24日承認、2.4_3.2)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/3999064