プルヴィクト FAQ

製品FAQは医療に従事する先生方からよくご質問いただく内容をまとめたものです。記載している情報はあくまで参考情報としてお取り扱いいただき、医療上のご判断は医療従事者の裁量と責任のもとに行っていただきますようお願い致します。
製品のご使用にあたっては、最新の電子化された添付文書(電子添文)をご確認ください。製品に関してご不明な点がございましたら、弊社お問い合わせ窓口にお問い合わせください。

弊社製品の使用期限は専用ページでお調べいただけます。
薬価基準および各種コードはこちらをご確認ください。

1.特定の背景を有する患者

プルヴィクトは腎機能障害のある患者に投与する際に、投与量の調節は必要ですか?

電子添文では、重度の腎機能障害患者又は末期腎不全患者への投与に関して注意喚起をしています。

◇重度の腎機能障害又は末期腎疾患を有する患者
投与の可否を慎重に判断してください。
重度の腎機能障害患者(CLCr:15~29mL/分)又は末期腎不全患者を対象とした臨床試験は実施していません1)

◇軽度~中等度の腎機能障害
母集団薬物動態解析を用いて、本剤の薬物動態に対する軽度から中等度の腎機能障害の影響を評価した結果、本剤の曝露量が増加する傾向が認められました2)。一方、Cmaxに対して明らかな影響を及ぼしませんでした。なお、中等度腎機能障害患者のシミュレーションは、観察された一つの値(CLcrBL = 54mL/min)のみに基づいています。母集団薬物動態解析に基づくと、ベースライン時に軽度(CLcr60~89mL/min)又は中等度(CLcr30~59mL/min)の腎機能障害を有する患者に対する用量調節は不要と考えられました3)

 

 

(参考)

1)    プルヴィクト電子添文 9.2.1

2)    プルヴィクト電子添文16.6.1 

3)    プルヴィクトインタビューフォーム Ⅶ-3 (2)

プルヴィクトを生殖能を有する患者に投与する場合、治療後の避妊の期間はどれくらいですか?

プルヴィクトを生殖能を有する患者に投与する場合は、プルヴィクト投与中及び最終投与後14週間はバリア法(コンドーム)を用いて避妊する必要があります1)
14週間の規定は遺伝的に損傷した精子の移行を考慮し、7日間(実効半減期の5倍=5×1.4日間)+90日間(完全な精子形成周期)として算出されています2)

 

 

(参考)

1)    プルヴィクト電子添文 9.4.1

2)    プルヴィクトインタビューフォーム Ⅷ‐6

排尿障害のある患者にプルヴィクトを投与してもいいですか?

電子添文では、排尿障害のある患者への投与に関する規定はありません。
以下の情報を参考に、適切な排尿管理を行い、尿中の放射能による汚染や医療従事者の被ばくを考慮して、各医療機関の実状に沿って適切な放射線安全管理対策をご検討ください。

・プルヴィクトは主に腎臓を介して排泄されます。去勢抵抗性前立腺癌患者30例に本剤を投与した結果、最初の48時間までに本剤の投与量の約50%が尿中に排泄されることが示されました。また、投与量の約1~5%が糞中に排泄されました(外国人データ)1,2)
・プルヴィクト電子添文[14.2 薬剤投与時の注意]には以下の記載があります3)
膀胱部の被曝を軽減させるため、本剤投与前後にできるだけ患者に水分を摂取させ、排尿させること。
 

 

(参考)

1)    プルヴィクト電子添文 16.5

2)    Kratochwil C, et al.:J Nucl Med. 2016;57(8):1170-1176

3)    プルヴィクト電子添文  14.2

2.効能又は効果

標的病変が骨転移のみの場合、プルヴィクトを投与してもいいですか?

プルヴィクトの効能又は効果は「PSMA陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺癌」であり、骨転移のみのPSMA陽性去勢抵抗性前立腺癌に対しても投与いただけます1)
 

 

(参考)

1)    プルヴィクト電子添文4

3.用法及び用量

他の抗がん剤と併用してもいいですか?

プルヴィクトと他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していません1)
開発時における臨床試験での使用の可否は以下の通りでした2)

試験名使用可使用不可
海外第Ⅲ相試験(VISION試験)アンドロゲン除去療法(ADT)、新規アンドロゲン受容体シグナル阻害薬(ARSI)他の治験薬、細胞傷害性抗悪性腫瘍剤、
免疫療法、他の放射性医薬品、半身放射線療法
海外第Ⅲ相試験(PSMAfore試験)アンドロゲン除去療法(ADT)他の治験薬、生物学的製剤、免疫療法、細胞傷害性抗悪性腫瘍剤、他の放射性医薬品、PARP阻害剤、半身放射線療法(プルヴィクト群ではARSIの使用不可)
国内第Ⅱ相試験(A11201試験)アンドロゲン除去療法(ADT)、新規アンドロゲン受容体シグナル阻害薬(ARSI)他の治験薬、細胞傷害性抗悪性腫瘍剤、
免疫療法、他の放射性医薬品、半身放射線療法、PARP阻害剤、AKT阻害剤

 

新規アンドロゲン受容体シグナル阻害薬(ARSI)は内分泌療法剤であり、最良の支持療法/標準治療(BSC/BSoC)として、海外第Ⅲ相試験(A12301/VISION試験)および国内第Ⅱ相試験(A11201試験)では併用が可能であったため、内分泌療法剤を除く他の抗悪性腫瘍剤との併用は推奨していません3)

 

 

(参考)

1)    プルヴィクト電子添文7.1

2)    プルヴィクト電子添文17.1

3)    プルヴィクト審査報告書 7.R.5.1

放射線治療歴のある患者にプルヴィクトを投与してもいいですか?

電子添文において、放射線治療歴のある患者への投与に関する規定は設けられていません。
ただし開発時の臨床試験では、ランダム化または試験登録の6か月以内に放射線治療を受けた患者は除外基準に該当していました1)
このためプルヴィクト投与前6か月以内の放射線治療歴のある患者への投与は推奨していません。
放射線治療歴のある患者に対しては、適切な間隔をおいて投与をご検討ください。

 

 

(参考)

1)    プルヴィクトインタビューフォーム Ⅴ‐5.

プルヴィクト治療後に他治療を開始する場合、どのくらい期間を空ければいいですか?

臨床試験では、他治療開始までの休薬期間は明確に設定されていませんでした。
プルヴィクトは、放射線被ばくの観点から、回復期間として6週間間隔の投与が設定されています1)
そのため、有害事象の発現状況を考慮し、適切な休薬期間を設け、他治療の開始基準に従って他治療を開始することを検討してください。

 

 

(参考)

1)    プルヴィクト(2025年9月19日承認、CTD2.7.2-3.3.1.2)

4.安全性

口内乾燥が起こる機序および対処法は?

口内乾燥は唾液腺がPSMAの発現部位であることから生じると考えられます1)
NCI-CTCAE Grade3の口内乾燥が出現した場合は、プルヴィクトの用量を減量して再開してください2)

【参考:口内乾燥 Grade3】3)
以下のいずれかに該当する状態
・十分な経口摂取が不可能
・経管栄養またはTPNを要する
・刺激のない状態での唾液分泌量が<0.1mL/min
 

 

(参考)

1)    プルヴィクト(2025年9月19日承認、CTD2.7.4-1.1.2.1)

2)    プルヴィクト電子添文7.2

3)    有害事象共通用語規準 v5.0日本語訳JCOG版 https://jcog.jp/doctor/tool/ctcaev5/

骨髄抑制の有害事象は初回投与からどれくらいの期間で発生しますか。また回復期間はどのくらいですか?

骨髄抑制の有害事象の初回発現までの期間の中央値(最小値~最大値)は、海外第Ⅲ相試験(A12301/VISION試験)では43.0(1.0~777.0)日、海外第Ⅲ相試験(B12302/PSMAfore試験)では68.50(1.0~282.0)日、国内第Ⅱ相試験(A11201試験)では、タキサン系抗悪性腫瘍剤既治療集団で72.00(23.0~211.0)日、タキサン系抗悪性腫瘍剤未治療集団で31.00(10.0~113.0)日でした1)

骨髄抑制の回復期間について、明確なデータはありません。各試験において、安全性の最終観察時点で未回復であったという報告もありますので、治療中の骨髄抑制に対しては必要に応じて減量や中止をご検討いただくと共に、治療終了後も継続的なフォローをお願いいたします。
 

 

(参考)

1)    プルヴィクト適正使用ガイド 8

5.その他

プルヴィクト投与に必要なPSMA陽性病変の確認に用いられる検査について教えてください。

プルヴィクトは承認された診断用医薬品を用いた検査により、PSMA陽性病変を有することが確認された患者に投与してください。なお、承認された診断用医薬品の情報については、以下のウェブサイトから入手可能です1)
https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/about-reviews/p-drugs/0035.html

プルヴィクトの適応判断として承認を得ている診断用医薬品はロカメッツのみです(2025年9月現在)。

 

 

(参考)

1)    プルヴィクト電子添文 5.1

プルヴィクトを使用することによる、医療従事者の被ばく量はどの程度になりますか?

医療従事者への被ばく量は、プルヴィクトを投与した患者と接する際の時間、距離、遮蔽などの条件によって異なります。
詳細については、「ルテチウムビピボチドテトラキセタン(Lu-177)注射液を用いる核医学治療の適正使用マニュアル(第1版)」1)を確認してください。
 

 

(参考)

1)    ルテチウムビピボチドテトラキセタン(Lu-177)注射液を用いる核医学治療の適正使用マニュアル(第1版)https://www.jrias.or.jp/report/cat4/427.html

プルヴィクト投与患者を入院させる「特別な措置を講じた病室」とは具体的にはどのようなものですか?

「特別措置病室に係る基準、管理・運用及び行動規範に関するマニュアル 2022年10月」がJRIA(日本アイソトープ協会)に掲載されています1)
具体的な内容については、本マニュアルを参照ください。
 

 

(参考)

1)    JRIA(日本アイソトープ協会)https://www.jrias.or.jp/report/cat4/422.html

プルヴィクトを投与する際、輸液等の前投与は必要ですか?

プルヴィクトの投与にあたっては、腎保護のための輸液などの前投与は不要です。
プルヴィクトの有効成分であるルテチウムビピボチドテトラキセタン(177Lu)は腎排泄されますが1)、ラットのデータより腎臓への持続的な滞留は認められませんでした2)
開発時の臨床試験【国内第Ⅱ相試験(A11201試験)3)・海外第Ⅲ相試験(A12301/VISION試験)4)・海外第Ⅲ相試験(PSMAfore試験)5)】においても輸液製剤は前投与されていませんでした。
ただし、プルヴィクトの投与により、腎機能障害があらわれることがあるので、投与開始前及び投与中は定期的に腎機能検査を行い、患者の状態を十分に観察してください。また、膀胱部への被曝軽減のため、投与前後は十分な水分補給及び排尿を行うよう指導してください6.7)

 

 

(参考)

1)    プルヴィクトインタビューフォーム Ⅶ-7

2)    ノバルティスファーマ社内資料:代謝

3)    Izumi, K. et al.: Cancers 2025; 17(14): 2351

4)    Sartor, O. et al.:N. Engl. J. Med. 2021; 385(12): 1091- 1103

5)    Morris, M.J. et al.:Lancet 2024; 404(10459): 1227-1239

6)    プルヴィクト電子添文 8.2

7)    プルヴィクト電子添文 14.2.1

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