パンくず
CL-102試験
本試験は一部承認外の「効能、効果又は性能」「用法及び用量又は使用方法」のデータが含まれますが、本試験の結果に基づき承認されたため記載しています。
4)未治療の6~60ヵ月齢未満のSMA患者を対象とした海外第Ⅰ相試験〔CL-102試験:STRONG〕(海外データ)1)
1)社内資料:海外第Ⅰ相試験(CL-102試験)(承認時評価資料)
1.試験概要
目的
6~60ヵ月齢未満の未治療のSMA患者を対象に、ゾルゲンスマ髄注の単回投与の安全性、忍容性及び有効性を評価し、至適用量を検討する。
対象
SMN2遺伝子のコピー数が3、支えなしで座位(10秒以上)は可能だが、補助なしで立位や歩行は不可能なSMA患者32例
―主な選択基準―
- 投与時に6ヵ月齢以上60ヵ月(1800日)齢未満
- SMN1遺伝子の両アレル性の欠失を認め、SMAと診断された患者
- SMN2遺伝子のコピー数が3であり、SMN2遺伝子の塩基置換(c.859G>C)の遺伝子検査が陰性の患者
- 支えなしで座位(10秒以上)は可能だが、立位や歩行は不可能な患者
- 12ヵ月齢未満の時点でSMAの臨床症状を認めた患者
方法
3つのコホート(コホート1:6.0×1013vg、コホート2:1.2×1014vg、コホート3:2.4×1014vg)を設定した。低用量のコホートから開始し、用量に関連した毒性が認められず、データモニタリング委員会が増量は許容可能と判断した場合に、次のコホートに移行(増量)することとした。各コホート内で最初の3例は、個々の患者の投与間隔を4週間以上あけ、安全性を確認した。
<コホート1:6.0×1013vg>
6~24ヵ月齢未満の3例を登録し、得られた安全性データに基づき、試験中止又はコホート2への移行を決定した。
<コホート2:1.2×1014vg>
6~60ヵ月齢未満の3例を登録し、コホート1~2で得られた安全性データに基づき、試験中止又はコホート2での新たな患者への投与を決定した。投与可の場合には、6~24ヵ月齢未満及び24~60ヵ月齢未満が各12例、計24例になるまで新たに21例を登録した。コホート2で得られた安全性及び有効性データに基づき、安全かつ必要性が認められた場合には、コホート3への移行を決定することとした。
<コホート3:2.4×1014vg>
6~60ヵ月齢未満の3例を登録し、コホート1~3で得られた安全性データに基づき、試験中止又はコホート3での新たな患者への投与を決定した。投与可の場合には、6~24ヵ月齢未満及び24~60ヵ月齢未満が各12例、計24例になるまで新たに21例を登録することとした。
なお、AAV9カプシドに対する免疫反応を抑制するために、ゾルゲンスマ髄注投与の24時間前から30日後までプレドニゾロンを1mg/kg/日で投与した。
試験デザイン
第Ⅰ相、非盲検、自然歴対照、用量漸増試験
評価項目
主要評価項目
安全性(有害事象)
有効性
(1)投与時に6~24ヵ月齢未満の患者
補助なしで起立可能(3秒以上)の運動マイルストーンを12ヵ月までのいずれかの時点で達成した患者の割合
(2)投与時に24~60ヵ月齢未満の患者
12ヵ月のHFMSEスコアのベースラインからの変化量
●評価項目の解説
運動マイルストーン(Bayleyスケール)については補足資料を参照
HFMSEスコアについてはB12301試験を参照
解析計画
有効性の主要評価項目は、ITT集団を対象に年齢別(投与時6~24ヵ月齢未満、投与時24~60ヵ月齢未満)及びコホート別に解析した。コホート2では、本試験とマッチングさせたSMA患者の自然歴(PNCRデータセット、以下PNCR自然歴)と比較した。
(1)投与時6~24ヵ月齢未満
補助なしで起立可能(3秒以上)の運動マイルストーンを12ヵ月までのいずれかの時点で達成した患者の割合を算出した。また、コホート2では、PNCR自然歴と比較するために、コホート2とPNCR自然歴の割合の差及び95%CIを算出した。
(2)投与時24~60ヵ月齢未満
HFMSEスコアの観察値及びベースラインからの変化量を時点別に要約した。PNCR自然歴との比較には、12ヵ月のHFMSEスコアのベースラインからの変化量をMMRMを用いて解析した。モデルには、HFMSEスコアのベースラインからの変化量を従属変数、コホート(ゾルゲンスマ投与及びPNCR自然歴)及び時点を固定効果、ベースラインのHFMSEスコア及びベースラインの年齢を共変量、コホートとベースラインの年齢、ベースラインのHFMSEスコアと時点、ベースラインのHFMSEスコアとコホート、及びコホートと時点を交互作用として含めた。分散共分散構造には、はじめに複合対称構造を用いた。
●解析対象集団
2.患者背景
32例が組み入れられ、全例にゾルゲンスマが髄腔内投与された。32例全員が投与後の追跡調査期(コホート1及び2は12ヵ月間、コホート3は15ヵ月間)の評価を完了した。32例の内訳は、投与時6~24ヵ月齢未満が20例(コホート1:3例、コホート2:13例、コホート3:4例)、投与時24~60ヵ月齢未満が12例(コホート2:12例)であった。
全体の年齢の平均値(範囲)は24.6(7-55)ヵ月齢で、男児が56.3%を占めた。人種は白人が約7割を占め、アジア人は約2割(6例)であった。非経口の栄養摂取を必要とした患者や侵襲的な呼吸補助を必要とした患者はいなかった。
ベースライン時には、全員にSMAと一致する臨床徴候及び症状が認められた。SMA症状発現時の年齢の中央値(範囲)は8.0(0-11)ヵ月齢であった。
3.有効性
(1)投与時6~24ヵ月齢未満
運動マイルストーン:12ヵ月までに補助なしで起立可能(3秒以上)[ITT][主要評価項目]
12ヵ月までのいずれかの時点で補助なしで起立可能(3秒以上)の運動マイルストーンを達成した患者の割合は、コホート1で1/3例、コホート2で1/13例(7.7%)、コホート3で0/4例であった。
PNCR自然歴では、この運動マイルストーンを達成した7例のうち5例がベースライン時から達成していたが、本試験で達成した2例は、いずれもゾルゲンスマ髄注投与後に新たに達成したものであった。
補助なしで起立可能(3秒以上)の運動マイルストーンを12ヵ月までのいずれかの時点で達成した患者の割合(ITT)
PNCR: Pediatric Neuromuscular Clinical Research
(2)投与時24~60ヵ月齢未満
12ヵ月のHFMSEスコアのベースラインからの変化量[ITT][主要評価項目]
12ヵ月のHFMSEスコアのベースラインからの変化量の最小二乗平均は6.0(95%CI:3.7,8.3)点であり、コホート2とPNCR自然歴の差は5.5(95%CI:1.9,9.0)点であった。
12ヵ月のHFMSEスコアのベースラインからの変化量(ITT集団)
4.安全性
安全性の概要[SAF][主要評価項目]
有害事象は32例全例(100%)に認められ、このうち治験製品との関連ありと判断された有害事象は12例(37.5%)に発現した。重篤な有害事象は32例中7例(21.9%)に発現し、このうち治験製品との関連ありと判断された重篤な有害事象は1例(3.1%)に2件発現した。発現した事象はAST増加(Grade 2)及びALT増加(Grade 3)であった。
本試験において試験中止に至った有害事象、死亡に至った有害事象は認められなかった。
安全性の概要
主な有害事象(全体で2例以上)
MedDRA version.23.0
重篤な有害事象
MedDRA version.23.0
補足資料 運動マイルストーンの動作規準
Bayley乳幼児発達検査(Bayleyスケール)(第3版)2)
文献
1)社内資料:海外第Ⅰ相試験(CL-102試験)(承認時評価資料)
2)Bayley N. Bayley scales of infant and toddler development: Bayley-III: Harcourt Assessment, Psych. Corporation; 2006.
【効能、効果又は性能に関連する注意】<抜粋>
5.2 2歳以上の患者に投与すること。
【用法及び用量又は使用方法】
通常、1.2×1014ベクターゲノム(vg)を約1~2分かけて髄腔内に単回投与する。オナセムノゲン アベパルボベクの投与歴(投与経路は問わない)がある患者には本品を投与しないこと。