パンくず
B12302試験
3)ヌシネルセン又はリスジプラムによる治療を中止した2~18歳未満のSMA患者を対象とした国際共同第Ⅲ相試験〔B12302試験:STRENGTH〕(日本人を含む)1,2)
1)社内資料:国際共同第Ⅲ相試験(B12302試験)(承認時評価資料)
2)Kwon JM. et al.: Nat Med. 2026; 32(2): 488-493
COI:本試験はNovartis Pharmaの資金により行われた。著者にNovartis Pharmaの社員及びNovartis Pharma/Novartis Gene Therapiesより謝礼/コンサルタント料/助成金を受領している者が含まれる。
1.試験概要
目的
ヌシネルセン又はリスジプラムによる治療を中止した2~18歳未満のSMA患者に、ゾルゲンスマ髄注を単回投与したときの安全性及び忍容性、有効性を評価する。
対象
SMN2遺伝子のコピー数は問わず、支えなしで座位(10秒以上)は可能だが、補助なしで歩行は不可能な患者27例
―主な選択基準―
- スクリーニング開始時に2歳以上18歳未満
- SMN1遺伝子の両アレル性の欠失を認め、SMAと診断された患者
- SMN2遺伝子のコピー数は問わない
- スクリーニング時点で、少なくとも4回のヌシネルセンの負荷投与又は少なくとも3ヵ月間のリスジプラムの投与を受けている患者
- 支えなしで座位(10秒以上)は可能だが、補助なしで歩行は不可能な患者
- 新生児スクリーニングで診断された患者、又は臨床的に診断され、発症年齢が18ヵ月未満の患者
試験方法
ゾルゲンスマ髄注は1.2×1014vgを髄腔内に単回投与した。AAV9カプシドに対する免疫反応を抑制するために、ゾルゲンスマ髄注を投与する約24時間前から投与後30日間以上、プレドニゾロン1mg/kg/日(1日最大投与量60mg)を経口投与又は同等のステロイド薬を投与した。追跡調査期間は52週間とした。
試験デザイン
第Ⅲ相、非盲検、単群試験
評価項目
主要評価項目
安全性(有害事象)
副次評価項目
有効性
- 52週のHFMSEスコアのベースラインからの変化量
- 52週のRULMスコアのベースラインからの変化量
- 52週のACENDスコアのベースラインからの変化量
●評価項目の解説
ACEND(Assessment of Caregiver Experience in Neuromuscular Disease)
HFMSEスコア、RULMスコアについてはB12301試験を参照
解析計画
安全性の評価項目は、FASを対象に解析した。安全性の要約には治験製品の投与以降(1日目から最終来院まで)に得られたデータを含めた。有害事象は発現例数と発現率を示した。
有効性は、FASを対象に解析した。HFMSEスコア及びそのベースラインからの変化量を時点別に要約した。RULMスコア及びACENDスコアについても、HFMSEスコアと同様にそれぞれ要約した。解析には、測定したすべてのスコアを含め、欠測値は補完しなかった。
●解析対象集団
本試験ではFASとSAFは同一であるため、有効性及び安全性の解析にはFASを用いた。
2.患者背景
全体集団において、SMA発症年齢の中央値(範囲)は0.833(0.08-1.42)歳、投与時年齢の中央値(範囲)は7.06(2.4-17.7)歳であった。27例のうち、日本人は4例含まれていた。
SMAの治療歴は、ヌシネルセンが21例、リスジプラムが4例、両剤が2例であった。前治療薬による治療期間の中央値(範囲)は、ヌシネルセンが4.706(1.86-6.18)年、リスジプラムが2.698(0.39-6.28)年であった。
3.安全性
安全性の概要[FAS][主要評価項目]
有害事象は27例全例(100%)に発現し、このうち治験製品との関連ありと判断された有害事象は13例(48.1%)であった。
重篤な有害事象は4例(14.8%)に発現し、このうち治験製品との関連ありと判断された重篤な有害事象は認められなかった。
本試験において試験中止に至った有害事象、死亡に至った有害事象は認められなかった。
安全性の概要
主な有害事象(10%以上)
MedDRA version.27.1
重篤な有害事象(FAS)
MedDRA version.27.1
4.有効性
(1)52週のHFMSEスコアのベースラインからの変化量[FAS][副次評価項目]
52週のHFMSEスコアのベースラインからの変化量の平均値(SD)は0.17(2.878)点で、最小二乗平均(95%CI)は1.05(-0.21,2.32)点であった注)。
注)Ⅱ型SMA患者におけるHFMSEのMCID(minimal/minimum clinically important difference:臨床的に重要な最小の差)は、改善が1.46点以上、悪化は-3.21点以下とされている3)
HFMSEスコアのベースラインからの変化量の推移(全体、FAS)
(2)52週のRULMスコアのベースラインからの変化量[FAS][副次評価項目]
52週のRULMスコアのベースラインからの変化量の平均値(SD)は0.29(2.849)点で、最小二乗平均(95%CI)は0.59(−0.56,1.73)点であった。
RULMスコアのベースラインからの変化量の推移(全体、FAS)
(3)52週のACENDスコアのベースラインからの変化量[FAS][副次評価項目]
52週のACENDスコアのベースラインからの変化量の平均値(SD)は1.43(9.318)点で、最小二乗平均(95%CI)は1.06(−2.90,5.02)点であった。
日本人における有効性・安全性は事後解析であるが、承認申請の審査過程で評価された結果であるため記載しています。
参考 日本人における有効性・安全性
患者背景
B12302試験に組み入れられた日本人4例にゾルゲンスマが単回髄腔内投与され、52週間の試験を完了した。
4例のゾルゲンスマ投与後の追跡調査期間の中央値(範囲)は1.28(1.0-1.7)年であった。
4例とも前治療薬としてヌシネルセンが投与されていたが(3.8-5.2年)、下表の理由により中止した。
日本人患者の背景
a)その他の詳細は、定期的な髄腔内投与による身体的及び精神的苦痛であった。
b)SMA診断時にはSMN2遺伝子のコピー数は2であった。
有効性
(1)日本人患者のHFMSEスコア
BL:ベースライン、NA:not applicable
症例1は154日目に発現した脊髄性筋萎縮症(関連なし、非重篤)のため、176~244日にリスジプラムが追加投与され、245日からはヌシネルセンの投与が開始された。
HFMSEスコアのベースラインからの変化量の個別推移
(2)日本人患者のRULMスコア
BL:ベースライン、NA:not applicable
症例1は154日目に発現した脊髄性筋萎縮症(関連なし、非重篤)のため、176~244日にリスジプラムが追加投与され、245日からはヌシネルセンの投与が開始された。
RULMスコアのベースラインからの変化量の個別推移
安全性
安全性の概要
有害事象は4例全員に発現し、主な事象は上咽頭炎(3例)、鼻出血、COVID-19(各2例)であった。治験製品との関連ありと判断された有害事象は嘔吐(1例)であった。
重篤な有害事象は2例に発現し、周期性嘔吐症候群、COVID-19、ウイルス性気管支炎(同一患者に3事象発現)、及び胃腸炎であった。
本試験において試験中止に至った有害事象、死亡に至った有害事象は認められなかった。
注目すべき有害事象は、3例に「一過性の血小板減少症」(鼻出血2例、挫傷1例)が発現したが、いずれも軽度で、無処置で消失した。
日本人患者の有害事象の概要
文献
1)社内資料:国際共同第Ⅲ相試験(B12302試験)(承認時評価資料)
2)Kwon JM. et al.: Nat Med. 2026; 32(2): 488-493
3)Coratti G. et al.: Eur J Neurol. 2024;31(8):e16309.