サーティカン FAQ
製品FAQは医療に従事する先生方からよくご質問いただく内容をまとめたものです。記載している情報はあくまで参考情報としてお取り扱いいただき、医療上のご判断は医療従事者の裁量と責任のもとに行っていただきますようお願い致します。
製品のご使用にあたっては、最新の電子化された添付文書(電子添文)をご確認ください。製品に関してご不明な点がございましたら、弊社お問い合わせ窓口にお問い合わせください。
1.用法及び用量
手術前後でサーティカンを休薬する必要はありますか?
サーティカンの電子添文上、手術前後の休薬に関する規定はありません。
ただし、サーティカンの薬理作用として細胞増殖抑制作用があることや重大な副作用に創傷治癒不良がある1)ことから、サーティカンの休薬を考慮してください。
免疫抑制薬TDM標準化ガイドライン[臓器移植編]2)では、手術の1週間程度前からサーティカンを他の免疫抑制剤に変更し、手術後、創傷治癒を確認してからサーティカンに変更すると記載があります。
免疫抑制薬TDM標準化ガイドライン[臓器移植編]
CQ3-12「移植前後に侵襲性の高い外科的処置の必要な場合(心移植)はどう対応すればよいか。」
(参考)
1) サーティカン電子添文 18.1.3、11.1.6
2) 一般社団法人日本TDM学会, 一般社団法人日本移植学会. 免疫抑制薬TDM標準化ガイドライン[臓器移植編] p113-114 (2018)
2.安全性
サーティカンの血中濃度は、併用するカルシニューリン阻害剤(シクロスポリン、タクロリムス)の影響を受けますか?
シクロスポリンとサーティカンは併用注意です。シクロスポリンとの併用により、サーティカンのバイオアベイラビリティが増加する報告があります1)。
シクロスポリンの用量調節を行う場合、サーティカンの用量調節も必要になる可能性があります。サーティカンの血中トラフ値を参考に、必要に応じてサーティカンの用量調節を行ってください。
タクロリムスは併用注意に設定していません1)。
シクロスポリン、タクロリムスの併用時の全般的な注意事項は、サーティカン電子添文8.1項で注意喚起しています。
サーティカン電子添文
8.1 シクロスポリン、タクロリムス及び副腎皮質ホルモン剤との併用に際しては、各薬剤の添付文書に記載されている「警告」、「禁忌」、「併用禁忌」、「重要な基本的注意」、「特定の背景を有する患者に関する注意」、「重大な副作用」等の使用上の注意を必ず確認すること。
<参考>
サーティカン電子添文
16.7.1 シクロスポリン
健康成人12例を対象として、本剤2 mgとシクロスポリンのマイクロエマルジョン製剤(CsA)175 mgを単回併用投与したところ、本剤の単独投与時に比べて本剤のAUCは168%(範囲46%~365%)、Cmaxは82%(範囲25%~158%)増加した(外国人のデータ)。
シクロスポリンのマイクロエマルジョン製剤の安定した用量の投与を受けている維持期腎移植患者24例を対象に、プラセボ、本剤0.75 mg、2.5 mg又は7.5mgを1日1回28日間併用投与したとき、シクロスポリンの薬物動態に対する本剤併用の大きな影響はみられなかった(外国人のデータ)。
以上より本剤とシクロスポリンの併用免疫抑制療法からシクロスポリンを除く場合には、本剤の体内曝露量は1/2~1/3に減少するおそれがある。よって、シクロスポリンの用量を変更する場合には、本剤の用量調節が必要であると考えられる。
16.7.3 タクロリムス
維持期腎移植患者8例を対象とし、本剤3 mg/日と標準量のタクロリムス(投与初日~10日目)あるいは減量したタクロリムス(投与11日目~3ヵ月;11日目より半量投与)を併用投与したとき、本剤の併用前と併用後でタクロリムスの薬物動態に変化はなかった。また、減量したタクロリムスと併用したときの本剤の薬物動態は、標準量のタクロリムスと併用したときとほぼ同様であった(外国人のデータ)。これらの結果より、本剤はタクロリムスの薬物動態にほとんど影響せず、またタクロリムスの減量は本剤の薬物動態に大きく影響しないと考えられた。
(参考)
1) サーティカン電子添文
3.製剤
サーティカンは粉砕して投与してもいいですか?
サーティカンを粉砕して投与することは、承認外の用法です。粉砕投与した際の有効性、安全性、薬物動態は確立していませんので、弊社からは推奨していません。
なお、サーティカンを粉砕して安定性を検討したデータはありません。
また、電子添文では「光及び湿気を避けるため、PTP包装のまま保存すること」と注意喚起しています1)。
(参考)
1) サーティカン電子添文 20.
サーティカンは簡易懸濁法で投与してもいいですか?
サーティカンを懸濁して投与することは、承認外の用法です。懸濁投与した際の有効性、安全性、薬物動態は確立していませんので、弊社からは推奨していません。
なお、サーティカンを懸濁して安定性を検討したデータはありません。
サーティカンは経管投与してもいいですか?
サーティカンを経管投与することは、承認外の用法です。また、経管投与した際の有効性、安全性、薬物動態は確立していませんので、弊社からは推奨していません。
経管チューブへの薬剤吸着試験において、チューブ通過後のサーティカン含有量は以下の通りでした1)。
シリコン製チューブ:96.7%-100.0%
ポリウレタン製チューブ:94.1%-99.5%
ポリウレタン製チューブ(親水性ポリマー加工):96.2%-98.1%
(参考)
1) ノバルティスファーマ社内資料 サーティカン錠0.5mg 経管チューブへの薬剤吸着試験
サーティカンを一包化してもいいですか?
電子添文で「光及び湿気を避けるため、PTP包装のまま保存すること」と注意喚起していることから、一包化は避けてください1)。
なお、サーティカンを一包化して安定性を検討したデータはありません。
(参考)
1) サーティカン電子添文 20.
「光及び湿気を避けるため、PTP包装のまま保存すること」の理由を教えてください
無包装での光安定性試験1)において、含量の低下及び類縁物質量の増加等を認め、光に対して不安定でした。
また、無包装における安定性試験2)では、7日間で水分含有率が規格外となり、サーティカンは湿度の影響を受けやすいことがわかりました。
以上の結果から、「光及び湿気を避けるため、PTP包装のまま保存すること。」と注意喚起しています。
(参考)
1) サーティカンインタビューフォーム IV-6.
2) 社内資料:サーティカン錠0.25 mg・0.5 mg 無包装における安定性試験
4.その他
サーティカンは納入管理や処方制限を行っていますか?
納入管理や処方制限は行っておりません。
<参考>
サーティカン電子添文
1. 警告
1.1 心移植、腎移植、肝移植における本剤の投与は、免疫抑制療法及び移植患者の管理に精通している医師又はその指導のもとで行うこと。