季節性アレルギー性鼻炎に対するゾレアの使い方
ゾレアを投与いただける医師・患者と投与スケジュール
ゾレア*は、既存治療で効果不十分な重症又は最重症の季節性アレルギー性鼻炎に適応を有する、ヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤です。
今回は、「季節性アレルギー性鼻炎に対するゾレアの使い方」をテーマに、ゾレアを投与いただける施設/患者さんの要件、及び投与スケジュールなどをご紹介します。
*【ゾレアの効能又は効果】(抜粋)
季節性アレルギー性鼻炎(既存治療で効果不十分な重症又は最重症患者に限る)注)
注)最適使用推進ガイドライン対象
ゾレアの投与にあたっての留意点
図1

ゾレアは、最適使用推進ガイドラインの対象となる医薬品です。
本ガイドラインに従い、ゾレアの恩恵を強く受けることが期待される患者さんに対して使用していただくとともに、副作用が発現した際に必要な対応をとることが可能な一定の要件を満たす医療機関で使用していただく必要があります。
投与に際してご確認いただきたい、施設要件
施設の要件は、「季節性アレルギー性鼻炎の病態、経過と予後、診断、治療を熟知し、ゾレアについての十分な知識を有し、季節性アレルギー性鼻炎の診断及び治療に精通する医師が当該診療科の本剤に関する治療の責任者として配置されている」ことです。
医師要件の詳細については、成人又は小児の患者さんに投与する場合で、それぞれご覧の基準を満たしているかをご確認ください。
投与に際してご確認いただきたい、患者要件
ゾレアの投与に際しては、患者さんへ以下の指導及び説明をお願いいたします。
- 季節性アレルギー性鼻炎の治療に際し、患者さん自身による原因花粉抗原の除去と回避も重要であることを患者さんに指導する
- ゾレアを含む薬物療法は対症療法ですが、アレルゲン免疫療法(減感作療法)は長期寛解も期待できる治療であることから、患者さんが長期展望に立った治療法を選択できるよう、季節性アレルギー性鼻炎の治療選択肢について患者さんに十分に説明する
図2

また、投与の要否の判断にあたっては、ご覧の5項目に該当する患者さんであることをご確認ください。
その他の確認事項
施設/患者要件のほかに、最適使用推進ガイドラインにおける「用量設定及び用法の確認事項」、「施設要件の確認事項」、「投与期間について」をご確認の上、ゾレアを投与いただきますようお願いいたします。
図3

ゾレアの投与開始における診療報酬明細書
「摘要」欄への記載事項
診療報酬明細書の摘要欄への記載方法について、ゾレア(季節性アレルギー性鼻炎)は、2022年10月よりコード選択を求められることとなりました。
初回投与及び継続投与時には、それぞれ留意事項通知で定められた項目を摘要欄に記載することが必要です。
図4

初回投与時にはご覧の16項目のコードを選択する必要があります。
図5

また、継続投与時にはご覧の8~9項目のコードを選択する必要があります。
図6

ゾレアの初回投与時/再投与時の投与スケジュール
~疑義解釈を踏まえて~
ゾレア(季節性アレルギー性鼻炎)は通常、1回75〜600mgを、2週間又は4週間毎に皮下注射を行う薬剤です1)。ここでは、4週間隔投与の場合における投与スケジュール例をご紹介します。
1)ゾレア電子添文 2022年4月改訂(第4版)
初回投与時の投与スケジュール例(4週間隔投与の場合)
ゾレア初回投与時の投与までのスケジュール例をお示しします。
図7

- 前スギ花粉シーズンの症状をヒアリングし、重症又は最重症の季節性アレルギー性鼻炎であるかを診断します
- その後、血液検査により特異的IgE※の測定を行うとともに(これまで未実施の場合)、抗ヒスタミン薬等による従来治療を開始します
- 1週間以上の観察期間後、既存治療で効果不十分な重症又は最重症の季節性アレルギー性鼻炎であるか診断します
- その後、血液検査により総IgE、特異的IgE※(未実施の場合)を測定します
※ゾレアの投与前までに特異的IgEを取得し、花粉抗原がクラス3以上であることを確認する必要があります
- 血液検査の結果を確認し、初回投与前の血清中総IgE濃度及び体重に基づき、ゾレアの投与量を決定します
- 抗ヒスタミン薬との併用で、ゾレアの投与を開始します
1年未満における再投与時の投与スケジュールの変更点
過去にゾレアの投与経験がある症例における、1年未満での再投与時のスケジュールは、厚生労働省からの疑義照会に対する回答(令和5年4月5日)を踏まえ、変更となりました。
「ヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤に係る最適使用推進ガイドラインの策定に伴う留意事項について」においては、ゾレアを季節性アレルギー性鼻炎に用いる場合は、「本製剤の投与前に、既存治療を行ってもコントロール不十分な鼻症状が1週間以上持続することを同一の医療機関で確認すること。」とされています。
この内容に関して、「本規定は、シーズンごとの投与前に確認を求めるものではなく、当該医療機関において本製剤による治療歴のない患者に初めて投与する際の規定と解してよいか。」との疑義照会を行ったところ、回答は「差し支えない。」でした。
図8

以上を踏まえ、2024年シーズンからは、ゾレアを1年未満で再投与する患者さんについては、これまで必要とされていたゾレア投与前の観察期間の必要がなくなりました※。
※同一医療機関においてゾレアを1年未満で再投与する場合
1年未満における再投与時の投与スケジュール例(4週間隔投与の場合)※1
1例ではございますが、ゾレア1年未満における再投与時の投与スケジュールをお示しします。
図9

- 前スギ花粉シーズンのゾレア投与直前の重症症状をヒアリングし、既存治療で効果不十分な重症又は最重症の季節性アレルギー性鼻炎であることを確認します
- その後、血液検査により特異的IgE※2を測定し、抗ヒスタミン薬との併用で、ゾレアの再投与を開始します
※1 同一医療機関においてゾレアを1年未満で再投与する場合
※2 ゾレアの投与前までに特異的IgEを取得し、花粉抗原がクラス3以上であることを確認する必要があります
既存治療で十分な改善が得られない重症又は最重症の季節性アレルギー性鼻炎の患者さんに、ゾレア*を選択肢のひとつとしてご検討いただけますと幸いです。*【ゾレアの効能又は効果】(抜粋) 注)最適使用推進ガイドライン対象 |
2023年12月作成
資材番号:XOL00395EP0001