慢性特発性蕁麻疹患者さんの抱えている悩み

慢性特発性蕁麻疹患者さんの抱えている悩み

 

監修:福永 淳 先生
   (大阪医科薬科大学 医学部 感覚器機能形態医学講座 皮膚科学 准教授)

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もし、先生であればどのように対応しますか?

ここで問題です

Question

慢性特発性蕁麻疹(CSU)患者さんのうち、
何%が最初に受診した医師を変更したでしょうか?

① 約70%

② 約50%

③ 約30%

正解はこちらをクリック

正解は…① 約70%です。

なぜ、約70%のCSU患者さんが医師を変更することになったのでしょうか。

2013年6月から2013年11月の間に、皮膚科医50例、CSU患者さん200例を対象としたオンライン調査1)が台湾で行われました。
図1は前述の医師を変更した患者さんの割合および変更した理由とその割合を示したグラフです。

【図1】

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調査に参加した患者さんの69%が医師を変更しました。また、8%が医師を変更しなかったものの治療を継続しなかったと報告されています。医師を変更した患者さんのうち74%は、より良い治療効果を期待して医師を変更しました。また、医師を変更した患者さんのうち一次治療でコントロールされていた患者さんの57%、一次治療でコントロールされなかった患者さんの100%が治療効果に満足していないと回答しました。これらの結果はCSU患者さんの多くが現在のCSU治療に満足していないことを反映していると考えられます。

CSU患者さんは、治療に満足していないだけでなく、日常生活においてもさまざまな面で問題を抱えていました。アンケートの結果では、睡眠(48%)、一般的な日常活動(41%)、見た目(43%)、仕事(34%)、対人関係(22%)など、さまざまな面で影響を受けていました1)。また、200例の患者さんのうち52%が強い心理的プレッシャーを感じ、生活影響スコアという尺度では、5.2とがん(4.9)、脳卒中(4.7)の生活影響スコアよりも高かったことも報告されています1)

 

CSU患者さんが抱えるQOLの障害については、本邦でも検証されてきました。慢性蕁麻疹患者さんのQOL障害をDLQIおよび労働生産性によって評価することを目的として、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、乾癬のいずれかの疾患に該当し、かつ1年以内に医療機関に受診経験のある日本人の患者さんを対象に、2017年4月から2017年5月の間にオンライン調査2)が行われました(図2)

【図2】

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【図3】

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加えて、慢性蕁麻疹患者さんは、UCTスコアが低いほど健康状態への満足度および治療への満足度を低く感じていました(図4)

【図4】

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福永淳先生からのコメント

 

蕁麻疹患者さんは、われわれ医師が想像しているよりもご自身の症状に深く悩んでいることが多いものです。受診時には症状が消失していることが多く、目の前の症状のみでは患者さんの悩みを判断することが難しい疾患です。患者さんの生活への影響も考慮し、なんらかのツールを用いて評価を行い、適切に治療を行うことが重要だと考えています。 本コンテンツがCSU患者さんに対する診療の参考になれば幸いです。

【引用文献】
 

1)Cho, YT, et al. J Eur Acad Dermatol Venereol, 2016, 30.1: 41-9
本研究は、ノバルティスファーマAGの資金提供を受け行った。また、著者にノバルティスから交通費、コンサルティング料、講演料を受け取った臨床試験研究者およびノバルティスの従業員が含まれる。

2)ITAKURA, A, et al. J Dermatol, 2018, 45.8: 963-70
著者に、ノバルティスファーマ株式会社の従業員およびノバルティスより講演料・コンサルティング料を受け取った者が含まれる。

2023年12月作成
資材番号:XCU00066EP0001


Source URL: https://www.pro.novartis.com/jp-ja/disease/check_csu_01