既存治療で効果不十分な
慢性特発性蕁麻疹患者に対しての治療薬
監修:福永 淳 先生
(大阪医科薬科大学 医学部 感覚器機能形態医学講座 皮膚科学 准教授)

平素より大変お世話になっております。本日は、既存治療で効果不十分な慢性特発性蕁麻疹患者さんに対しての治療薬であるゾレア(オマリズマブ)についてご紹介させていただきます。
ゾレアは慢性特発性蕁麻疹において、既存治療で効果不十分であり、本剤の成分(オマリズマブ[遺伝子組換え])に過敏症の既往がない患者さんに対して使用することができます1)。
1)ゾレア皮下注用 電子添文. 2022年4月改訂(第4版)
POLARIS試験
それでは、ゾレアの慢性特発性蕁麻疹に対しての適応追加承認の根拠となった第Ⅲ相国際共同検証試験(POLARIS試験)についてご紹介します。
POLARIS試験は、難治性特発性慢性蕁麻疹患者さんに対するゾレアの有効性を検証し、あわせて安全性を評価した第Ⅲ相国際共同検証試験になります。この試験ではヒスタミンH1受容体拮抗薬で効果不十分な特発性の慢性蕁麻疹の患者さん218例を対象に、ゾレアまたはプラセボを4週毎に3回、12週にわたり、現在の治療に追加投与しました。(図1)
【図1】

本試験の主要評価項目は、12週における週間そう痒スコアのベースラインからの変化量としました。このPOLARIS試験では、全体解析に加えて日本人を対象とした解析も行いましたので、それらの結果についてご紹介させていただきます。(図2)
【図2】

こちらは、主要評価項目の結果になります。被験者全体の解析において、12週時における週間そう痒スコアのベースラインからの変化量は、プラセボ群で-6.51±0.58、ゾレア 300mg群で-10.22±0.57となりました。日本人集団におけるサブグループ解析では、プラセボ群で-5.17±0.86、ゾレア 300mg群で-9.54±0.85でした。(図3)
【図3】

また、副次評価項目である12週時におけるDLQI総合スコアのベースラインからの変化量は、被験者全体の解析において、プラセボ群で-5.3±0.52、ゾレア 300mg群で-8.4±0.52となりました。日本人集団におけるサブグループ解析では、プラセボ群で-3.1±0.57、ゾレア 300mg群で-6.7±0.60でした。(図4)
【図4】

こちらの円グラフは、被験者全体の解析における、12週における週間そう痒スコアでベースラインから5ポイント以上の低下が認められた患者さんの割合を示したものになります。ゾレア 300mg群において週間そう痒スコアが、臨床的に意味のある改善を示した患者さんの割合は87.7%でした。よって、先生方の患者さんにおいても、ゾレアを使用することで多くの患者さんに痒みの改善をご実感いただけているのではないでしょうか。(図5)
【図5】

続いて、患者さん個々の結果についてご紹介します。日本人症例に対して作成されたヒートマップをお示しします。
図の見方ですが、縦軸におひとりおひとりの患者さんをプロットし、横軸に投与からの時間を示しています。個々のドットは疾患レベルを示しており、すべての患者さんが時間経過に伴って、どのような経過をたどったのかを確認できるようになっています。
左側がゾレア 300mg群になります。4週までにコントロール良好(UAS7≦6)となる患者さん(緑色のドット)が、30~40%いらっしゃいました。また、評価タイミングである12週時点では、約6割の患者さんでコントロール良好になりました。このように、効果が早期に出てくる群と、ゆっくりと出てくる群が存在することがわかりました。(図6)
【図6】

最後に安全性についてご紹介させていただきます。重篤な有害事象は、日本人患者群では認められませんでしたが、患者群全体におけるゾレア 300mg群で4.1%(3/73例)に発現が認められ、その内訳は中等度の肺炎、慢性胆嚢炎、糖尿病でした。また、ゾレア 150mg群で4.2%(3/71例)に発現が認められ、その内訳は四肢外傷性切断、脊髄損傷、肺炎および喘息でした。患者群全体および日本人集団における投与中止に至った有害事象はゾレア150㎎群で1.4%(1/71例)であり、軽度の咽頭浮腫でした。本試験において、死亡例は報告されませんでした。(図7)
【図7】

こちらは、弊社がお届けできるゾレアの資材一覧となっております。蕁麻疹患者さんは、来院時には膨疹などが消えており、症状を上手く説明しにくい、といった問題点もあるかと思います。先ほどのデータでもお示しした「UAS7」や「UCT」のスコアを手帳に記録することができ、特にUCTは1分ほどで患者さん自身に付けていただけますので日常臨床においてお使いいただきやすいスコアかと存じます。ご希望いただけるようでしたら、担当MRまでご連絡ください。(図8)
【図8】 蕁麻疹患者さんの目指す治療ゴールはさまざまです。来院時の症状だけではなく、患者さんの生活への影響も考慮し、適切に評価しそれに基づいて治療を行うことが重要ではないでしょうか?慢性特発性蕁麻疹患者さんの治療薬のひとつとしてゾレアをご検討いただけますと幸いです。本日はありがとうございました。(図9)
【図9】 |
2023年12月作成
資材番号:XCU00068EP0001